感想
TRPGやゲーム等のネタバレ感想のまとめ
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No.57
1149文字, 2021.06.07 22:21 TRPG
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とある冬の日のこと
それは、土蜘蛛の里にいた中で一番冷え込んだ冬の朝。
先生、先生、と無邪気にじゃれつく声が聞こえないと思って部屋に行けば、彼女は寝床で顔を真っ赤にさせて呻き声を上げていた。
考えるより先に体が動く。忌々しい、“蟲”の本能的な行動。
額に手を当てれば、ひどい高熱が出ているのがわかった。
気温差の激しい気候が続いていたので、体調を崩したのだろう。
口から勝手に溢れる暖かな労りの言葉とは反対に、心は氷のように冷たくなる。
――このままにしておけば、この娘は死ぬのではないか。
――これ以上、屈辱的なお守りなどしなくて済む。
そこまで考えて気がついた。まだユメモリの居場所を特定できていない。
洗脳が解けなければこの里から出ることも叶わない。
小笠原、もう1人の女王候補に仕える蟲の嘲るような笑みを浮かべるのが想像が付いた。
今、この娘に死なれるわけにはいかない。僕の目的を達成するまでは生きてもらわねばならない。
頭で考えずとも、この体は女王候補の看病のために勝手に動く。
濡らした布を額に乗せてやり、病人でも喉が通るような食事を作ってやる。
目的のためとはいえ土蜘蛛風情に奉仕せねばならない状況に怒りが募った。
己を看病する従者に殺意を向けられているとも知らない彼女は、「迷惑をかけてすみません」と何度も謝る。
「わかっているなら二度と風邪をひくな」という言葉の代わりに、僕の口は勝手に優しい言葉を彼女にかける。腸が煮えくり返りそうだ。
うわ言なのか、彼女は対立している女王候補の名を何度か呼んでいた。
母ではなく、友の名でもなく、殺し合う運命にある姉しか縋れる相手がいないのか?
「哀れだな」
鼻で笑い、哀れな土蜘蛛の頬に触れる。
まだ熱は下がらない。
外で朝を告げる蟲の鳴き声が聞こえた。
彼女の熱はなかなか下がらず夜通し看病し続けていたのだが、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
顔を上げれば、呻き声も上げず顔に色のないまま寝台に横たわる彼女の姿が目に入った。
――まさか、まさか。
血の気が引くのがわかった。
この僕がここまで看てやったというのに、冗談じゃない。
慌てて額に手を当てれば体温が感じられた。よく見れば彼女の胸は上下して動いている。
熱は無事下がったらしい。
「……良かった」
自分のものとは思えない安堵の声に、思わず口を押さえた。
今の言葉は“蟲”の本能によるものではない。
なら、……なら、今の言葉は、僕の意思で言ったというのか?
混乱したまま彼女の顔を見つめていると、目を覚ましたらしい彼女がこちらに顔を向ける。
「おはようございます、先生」
ああ、心の底から湧き上がってくるこの感情は。
一体誰のものなんだ。畳む